「食べたくないものは絶対に食べない!」
幼稚園の頃の長女は、自分で決めたことはなかなか変えないこだ割り強めの子でした。
周りのお友達や大人がどれだけ美味しそうに食べて見せても、まったく影響されません。

「ひと口だけ食べたみたら?」という声かけも、「みんな食べてるよ」という誘いも、彼女の意志をぐらつかせることは一切ありませんでした…
そんな長女が、あるとき突然、今まで「ちょっとだけ舐めてみる」ことすら拒否していた食べ物に果敢に挑戦し始めました。
きっかけは「絶対にディズニーランドに行くんだ!」という、強烈な気持ち。
この記事では、当時作った手書きの挑戦表の写真とともに、その3ヶ月間の記録をご紹介します。
「ASDの子の偏食に、何か突破口を見つけたい」と思っているご家庭の、ひとつの参考になれば嬉しいです。
- ASDによる新奇性恐怖が強い子にも「強い動機」が効果的だった実話
- 本人と話し合って作った、手書きの“すききらいをなくそうゲーム”表の中身
- 3ヶ月でクリア→今も食べられているものと、そうでなかったものの現実
- この体験から見えた、ASDの子の偏食に効くアプローチのヒント
年中の頃の長女|「絶対に食べない」は本気だった

長女は自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けており、幼い頃から食べ物に対する強い警戒心がありました。いわゆる「新奇性恐怖(しんきせいきょうふ)」と呼ばれる特性で、初めて見るものや、過去に「嫌だ」と感じた食べ物には絶対に手をつけません。
好き嫌いをする子どもへの対応でよく聞く「周りのみんなが食べていれば、つられて食べる」という方法も、長女にはまったく通用しませんでした。
周囲がどれだけ「おいしいよ!」と言っても、どれだけ美味しそうに食べている姿を見せても、彼女の中の「これは食べない」という決定は一切揺るぎません。
幼稚園の先生に勧められても

みんな美味しそうに食べてますね!でも、私は結構です。
と幼稚園児とは思えない大人びた口調で断り、先生を大笑いさせたエピソードも(笑)
新しい食べ物に挑戦すらしてくれないため、食べられるものの種類が全く増えない。
「これから先、体はきちんと成長してくれるのだろうか。」
と、とても心配でした。
きっかけは、ディズニーランドへの強烈な憧れ
年中の初夏、家族でディズニーランドへ行きました。
長女にとって、それはもうとびきり楽しい体験だったようです。
帰宅してからも「また行きたい!また行きたい!」と何度もおねだりし、ディズニーランドへの憧れが、長女の中でぐんぐん大きくなっていきました。
その様子を見て、ふと思ったんです。

「嫌いな食べ物を10種類、5回ずつ食べられたら、ディズニーランドに連れて行く」という約束をしてみたらどうかな?どうせ途中で諦めるか、達成しても1年くらいかかるだろうけど…
正直に言うと、内心では「絶対無理だろう」と思っていました。
それくらい、娘の偏食が激しい時でした。そのため、「もし達成するにしても、1年後くらいかな」という気持ちがありました。
「好き嫌いをなくそうゲーム」誕生!|表は本人と一緒に作った
ゲームのを提案すると、長女は目を輝かせて「やる!」と即答。さっそく二人で話し合いながら、挑戦する食べ物のリストを作ることにしました。

「好き嫌いをなくそうゲーム」、やります!!
ルールはシンプルです。
- 嫌いな食べ物を選んで表に書く
- 1つの食べ物を1回食べるごとにシールを貼る。
- 1つの食べ物を5回食べられたらクリア。
- 目標の10品目をクリアしたら、ディズニーランドへ
挑戦するメニューは長女自身と話し合って決めました。
「これは頑張れそう」「これはちょっと無理かも」と自分で考えながら選んでいく様子は、いつもの「食べたくない」とシャットアウトする長女とはまるで別人のようでした。
また、口に入れられないものもあるかもしれないと考えて、品数は最初から多めにリストアップ。
やさい・くだもの・そのほかの3カテゴリで、全部で18品目を書き出しました。
18品目の中から10品目をクリアしたら目標達成です。

チャレンジした食べ物はこちらです。
| カテゴリ | 挑戦リスト |
|---|---|
| やさい | トマト・ほうれん草・きゅうり・玉ねぎ・ブロッコリー |
| くだもの | ブドウ・みかん・バナナ・メロン |
| そのほか | ソーセージ・エビフライ・オムライス・チャーハン・餃子・オムレツ・パプリカ・ピーマン・焼きそば・レーズン |
ジャンルは多岐に及びますが、本人が決めたものならなんでもいいことにしました!
「とりあえず、食べれるものが増えてくれ〜!!」
そんな気持ちで表を作成したことを覚えています。
3ヶ月間の挑戦|予想をはるかに超えた本気度
チャレンジが始まると、長女は私の予想をはるかに超えるやる気で取り組みました。
今まで見るだけで「無理!」と言っていた食べ物も、表を見ながら

今日は、これやる!
と自分から宣言して挑戦し始めました。
もちろん、すんなりとはいきません。顔をしかめながら飲み込んだり、一口で限界だったり。それでも諦めなかったのは、彼女の中に「絶対にディズニーランドに行くんだ!」という揺るぎない目標があったからだと思います。
結果、わずか3ヶ月で条件をクリアしてしまいました。

正直、焦りました(笑)。1年後のつもりで予算を考えていたので……。
チャレンジの結果|克服できたもの、できなかったもの
設定した食べ物のうち、クリアできた食べ物はなんだったのか?
実際の結果をまとめました。
挑戦自体をしなかったもの
- 果物類(ブドウ・みかん・バナナ)
- エビフライ
「やっぱり無理」となり、挑戦表にはほとんど手がつきませんでした。品数を多めにしていたおかげで、ここを飛ばしても条件クリアには支障なし。

「逃げ道を作っておく」という設計が功を奏しました。
ブドウ・みかん・バナナは今は克服しています。大量には食べませんが、少量を美味しそうに食べるようになりました。
口に入れたけれど、吐き出してしまったもの
- メロン
口に入れた瞬間に吐き出してしまいました。
これは食べず嫌いではなく「本当に食べられないもの」が確認できたという意味で、むしろ大切な収穫です。長女自身も「これはダメだった」と認識でき、罪悪感なく諦めがつきました。
ちなみに、12歳の今もメロンは好きではありません。
チャレンジ中は食べられたが、今は食べないもの
- パプリカ
- ピーマン
- ブロッコリー
- レーズン
当時は5回クリアしたものの、今は食べていません。「チャレンジのモードだったから頑張れた」のかもしれないし、「成功体験は積んだけど、好きにはなれなかった」ということかもしれない。これはこれで正直な結果だと思っています。
挑戦をきっかけに食べられるようになったもの
- トマト
- ほうれん草
- きゅうり
- 玉ねぎ
- ソーセージ
- オムライス
- チャーハン
- 餃子
- オムレツ
- 焼きそば
チャレンジを経て今も普通に食べられるようになっています。「意外と食べられるな」という体験が、偏食の克服に実際につながりました。

「好きな食べ物」というわけではないですが、「食べられるメニュー」になりました!
特に当時「食べられるわけがない」と思っていたオムライスやチャーハン・餃子が食べられるようになったのは、今でも大きな変化だと感じています。
この体験から気づいたこと
振り返ってみると、このチャレンジは長女の「新奇性恐怖」を上回る強い動機があったから成立したのだと思います。「ディズニーランドに行きたい」という気持ちは、彼女にとってそれほど大きなものだったのでしょう。
この経験から、私が実感したことを3つ挙げます。
①「興味関心」が、ASDの子の最大の原動力になる
「みんなが食べているから」「体にいいから」という理由は、長女にはまったく響きませんでした。
でも「ディズニーランドに行きたい」という自分の強い興味関心は、驚くほどの行動力を引き出しました。その子が「本当に好きなもの・本当に行きたいもの」に紐づけることが、鍵になるのかもしれません。
②「見通しのある具体的な目標」が行動につながりやすい
「頑張って食べなさい」という漠然とした声かけではなく、「何を・何回・食べたら・何がもらえる」という見える化された目標が、長女には合っていたようです。
シールを貼る手書きの表は、進捗が目に見えて、達成感をこまめに味わえる仕組みにもなっていました。
③成功体験が、次の挑戦への自信になる
「食べてみたら意外と食べられた」という経験は、長女の中で積み重なっていきました。
全部が克服できたわけではないけれど、「挑戦した」という事実と「できた」という体験は、確かに残っています。その後も少しずつ食べられるものが増えてきたのは、この頃の成功体験が土台になっているのかもしれません。
まとめ|「食べなさい」より「食べたい」を引き出す

ASDのある子の偏食に「こうすれば必ず治る」という方法はないようです。
でも、長女の体験から感じたのは、「外から押しつける動機」より「本人の内側から湧き出る動機」の方が、はるかに強いということです。
お子さんは今、何に夢中ですか?
その「大好き」が、偏食改善の突破口になるかもしれません。
ちなみに、ディズニーランドへのお約束はもちろん果たしました。長女は大喜びで、それはそれは楽しそうでした!
私の財布がとっても大変でしたが(笑)。


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