発達障害の子の偏食に悩むママへ|原因と今日からできる対応を解説

発達特性と偏食

「決まったものしか食べてくれない」
「一口食べてみようともしてくれない」
そんな偏食に、毎日悩まされていませんか?

わが家の娘も自閉スペクトラム症候群の診断を受けていて、わたし自身、娘のひどい偏食にずっと悩まされてきました。
「どうして食べてくれないんだろう」「このままで栄養は足りているのかな」と、涙が出そうになった日も一度や二度ではありません。

そんなとき、「これはわがままではなくて、何か理由があるのかもしれない」と思い、自閉症の偏食について論文や専門家の資料を調べました。
すると、そこに書かれていた特性の数々が、驚くほど娘に当てはまっていて、「そういうことだったんだ」と納得できることがたくさんあったんです。

この記事では、その中で学んだ自閉スペクトラム症(自閉症)の偏食の特徴に焦点を当てて、子どもの偏食の特徴・原因・家庭でできる対応を、できるだけわかりやすくまとめています。

この記事はこんな方におすすめです

  • お子さんが自閉症と診断され、偏食に困っている方
  • 「わがままなのかな?」と自分を責めてしまうことがある方
  • 偏食の原因や対応のヒントを知りたい方

※この記事では自閉スペクトラム症(自閉症)の特性をもとに解説しています。発達障害にはさまざまな特性があるため、他の特性のお子さんすべてに当てはまるものではありません。

お子さんの特性には個人差があるため、「こういうケースもあるんだな」という参考のひとつとして読んでいただけたらうれしいです。

※また、この記事をベースに、今後はわが家の娘の具体的な特性や、実際にとった対策についても記事にしていく予定です。あわせて読んでいただけると、よりイメージしやすくなるかと思います。

発達障害の子どもに偏食が多いのはなぜ?

自閉スペクトラム症のお子さんの偏食は、実はとても多く見られるものです。
ある調査では、約74.6%の子どもに食べられない食材があるという結果が出ています。

さらに、

  • 11品目以上の食材を拒否する子:42.6%
  • 21品目以上の重度な偏食を示す子:10.4%

というデータもあり、定型発達のお子さんと比べても、拒否する食材の数が多く、偏りが強いのが特徴です。

わが家の娘も、食べられるものを数えた方が早いくらいで、最初にこの数字を見たときは「うちだけじゃなかったんだ…」と、少しだけ肩の力が抜けたのを覚えています。

偏食の背景には、単なる「わがまま」ではない、さまざまな理由が重なっています。

偏食は「わがまま」ではなく、特性によるもの

発達障害のあるお子さんの偏食は、「好き嫌い」や「しつけの問題」ではありません。
感覚の特性、こだわり、身体的な要因などが複雑にからみ合って、「食べられない」状態になっていると考えられています。

感覚過敏(食感・味・見た目)が食べられない原因になる

自閉症のお子さんの偏食には、「感覚の過敏さ」が大きく関係しています。
食べ物の食感・味・見た目・においなどを、定型発達の人よりもずっと強く感じてしまい、「食べられない」と感じることがあるのです。

※感覚過敏については、次の章でくわしくお話しします。

同一性へのこだわりと「未知のもの」への不安

自閉症のあるお子さんは、「いつもと同じであること」に強い安心感を覚える傾向があります。
そのため、食べ物の形や色にも、こだわりが見られることがあります。

  • 細長い形でないと食べない
  • 白い食べ物しか受け付けない
  • 特定のメーカーやお店のものしか食べられない

さらに、初めて見る食べ物に対して強い不安や警戒心を感じやすく、
「食べたことがないもの=怖い」と感じてしまうこともあります。

これも、偏食につながる大きな理由のひとつです。

口腔機能(噛む力)の未熟さ

身体的な理由として、食べ物を噛んだり飲み込んだりする機能が未発達な場合もあります。
咀嚼するための筋力が弱いと、お肉などが「硬くて飲み込めない」と感じることもあります。

また、定型発達のお子さんと比べて、食べ物をすり潰したり押し潰したりする機能の獲得が遅れている場合があり、それが食べにくさにつながっていることもあるのです。

過去の嫌な経験が残っているケースも

食事に関する「過去の嫌な経験」が、偏食に影響している場合もあります。

たとえば、無理やり食べさせられたり、「食べないとダメ」と強く言われたりした経験は、お子さんにとって大きなストレスになります。
そのときの嫌な気持ちが記憶に残り、数年にわたってその食べ物を避けてしまうこともあるそうです。

また、食べたあとに気分が悪くなった、お腹を壊したといった経験がきっかけで、特定の食べ物に強い苦手意識を持つこともあります。

自閉症の偏食は、すぐに改善するものではありません。
大切なのは、「どうして食べられないのか」を理解しながら、焦らず長い目で関わっていくことなんですね。

発達障害の偏食に見られる具体的な特徴

発達障害のお子さんに見られる偏食は、単なる好き嫌いではなく、感覚の過敏さやこだわりが主な原因です。

ここでは、感覚ごとにどんな特徴があるのかをまとめてみます。

感覚ごとに見る偏食の特徴食感

  • 食べ物を「硬くて痛い」と感じる
  • ベタベタ・ズルズル・パサパサした食感を極端に嫌う
  • ひとつの料理の中に食感が混ざっていると食べられない

味覚

  • 特定の味を強烈に感じる
  • 味が混ざり合うのを嫌がる

嗅覚(におい)

  • 特定のにおいに強い不快感を示す

視覚(見た目)

  • 色や形に強いこだわりを示す

聴覚(音)

  • 自分や周囲の咀嚼音が気になる

食感(触覚)への強い苦手意識

偏食の中でも、触覚(食感)の過敏さは、食べられない食材の多さと特に深く関わっています。

たとえば、

  • 茹でた野菜が「硬くて痛い」と感じる
  • 三つ葉の茎が「喉に刺さる」ように感じる

など、食べ物を「痛み」として受け取ってしまうケースもあります。

ベタベタ、ズルズルした食感や、パサパサして口の中に張り付くような質感を極端に嫌う傾向もあります。
また、ひとつの料理の中に違う食感が混ざっていると、それだけで食べられなくなることもあるようです。

味覚・嗅覚の過敏さによる拒否

味やにおいに対しても、定型発達の人には想像しにくいほど鋭すぎる感覚を持っている場合があります。

たとえば、

  • 「茹でた野菜が甘すぎる」と感じる
  • 複数の味が混ざり合うのを強く不快に感じる
  • カレーの香辛料や、給食の食缶を開けた瞬間のにおいを「吐き気がするほど不快」と感じる

といったケースがあります。

見た目や音(視覚・聴覚)へのこだわり

視覚や聴覚からの刺激も、食事を拒否する大きな要因になります。

  • 「白くないと食べない」といった色のこだわり
  • 「おにぎりはダメだけど、細長いスティック状ならOK」といった形へのこだわり
  • 色が混ざった食べ物に強い不安や嫌悪感を示す

聴覚の面では、自分の「カリカリ」「シャリシャリ」という咀嚼音が耳ざわりで我慢できない場合も。
また、周囲のざわざわした音が気になって、食事が進まないこともあるようです。

食べられるものが、ごく一部に限られるケースも

こだわりや不安の強さから、食べられるものが極端に限られるお子さんもいます。

  • 白米しか食べない
  • 枝豆しか食べない
  • 特定のメーカーのスープしか受け付けない

「同じものであること」に安心感を覚えるため、特定のお店やメーカーのもの以外は食べられない、というケースも珍しくありません。

さらに、初めて見る食べ物には強い警戒心を抱き、「食べたことがないもの=怖い」と感じてしまうこともあります。

こうした特徴は、お子さんが「わがまま」で食べないのではなく、感覚や特性の影響で「どうしても受け入れられない」状態にあることを教えてくれています。

発達障害の子どもの偏食で、やってはいけない対応

良かれと思って行ったことが、かえって逆効果になってしまうこともあります。
場合によっては、「食べること」そのものがつらい経験として長く残ってしまうこともあるので、ここは特に気をつけたいところです。

無理やり食べさせることのリスク

無理やり食べさせることは、お子さんにとって大きなストレスになります。

無理やり食べさせることで起こりうること

  • 一度の経験が強い記憶として残り、その食べ物を長期間避けるようになる
  • 飲み込めずに口にため込んでしまい、虫歯などのトラブルにつながる
  • 食事の時間そのものが苦痛になってしまう

とくに、無理やり食べさせられた経験は「嫌な記憶」として強く残りやすく、数年から数十年にわたってその食べ物を受け付けなくなることもあると報告されています。

飲み込みたくないものを無理に口に入れられると、飲み込まずに口の中にため込んでしまう行動につながり、虫歯などの口腔トラブルを招くこともあります。

食べることを強要される経験は、短期的な問題だけでなく、親子の信頼関係にも影響してしまうおそれがあります。

「食べないと病気になる」などの脅しは逆効果

「食べないと病気になるよ」といった言葉で不安をあおるのも、逆効果になりがちです。

食べ物と「怖い」という気持ちが結びついてしまうと、その食材を見るだけで拒否反応が出るようになることもあります。

自閉症のあるお子さんは、見通しのたたないことや未知のことに不安を感じやすい傾向があるため、脅しによって食事の時間そのものが「怖い場面」として記憶されてしまうこともあるのです。

「あと一口」が信頼関係を壊してしまうことも

「あと一口だけ頑張ろうね」という声かけは、一見よさそうに思えますよね。
でも、使い方には注意が必要です。

約束を守って食べたのに、「もう一口!」と追加されてしまうと、お子さんは「約束が違う」と感じてしまいます。
頑張る気持ちがなくなってしまったり、大人への信頼が揺らいでしまうことにもつながります。

食事の支援では、「安心して取り組めること」がとても大切。約束を守ることは、お子さんが新しい食材に挑戦するための土台になります。

食事では、「食べさせること」よりも「安心して食べられる環境を整えること」を優先していきたいですね。

発達障害の子どもの偏食への対応方法

自閉症のあるお子さんの偏食には、「安心感」をベースにした関わりが大切です。
無理に食べさせるのではなく、特性を理解しながら、少しずつ慣れていくことを目標にしていきましょう。

スモールステップで少しずつ慣らす

いきなり「食べる」ことを目標にせず、できることから段階的に進めていきます。

スモールステップの例

  • 1日目:スプーンにのせて持つ
  • 2日目:口元に近づける
  • 3日目:口に入れてみる
  • 4日目:少しなめてみる

ほんの少しでもできたら、しっかり褒めてあげましょう。
小さな「できた!」の積み重ねが、大きな成功体験につながっていきます。

また、「あと一口」と約束した場合は必ず守ることも大切です。信頼関係が、挑戦する力を支えてくれます。

調理や見た目を工夫して食べやすくする

感覚の過敏さに配慮することで、食べられる可能性がぐっと広がることがあります。

  • 茹で野菜が苦手 → 揚げてカリカリに仕上げる
  • 白いものしか食べない → 鮭にマヨネーズを塗って白く見せる
  • 形へのこだわりがある → おにぎりを細長いスティック状
  • 味が混ざるのが苦手 → 小皿に分けて盛り付ける

「この子はどうして食べにくいのかな?」を考えると、工夫のヒントが見つかりやすくなります。

食器や食事環境を整える

食べやすい環境づくりも、大切な対応のひとつです。

  • 握りやすいスプーンや、すくいやすい食器を使う
  • 音に敏感な場合はイヤーマフを活用する
  • においに敏感な場合はしっかり換気する
  • パーティションなどで視覚的な刺激を減らす

こうした工夫だけでも、食事への負担はずいぶん軽くなります。

食べなくても、食卓に出すことが大切

食べないからといって出さないのではなく、「見せるだけ」も立派なステップです。

他の家族と同じように配膳して、食べ物を認識する機会を奪わないことが、将来の挑戦につながります。

食べられるもの2品と、まだ食べたことがない1品を組み合わせて出すことで、安心感の中で新しい食材に触れるきっかけをつくることができます。

偏食への対応は、すぐに結果が出るものではありません。
「食べさせること」よりも「安心して食事ができること」を大切に、長い目で関わっていきましょう。

偏食でも栄養は足りる?親の不安との向き合い方

偏食が続くと、「栄養は足りているのかな」「発育は大丈夫かな」と不安になりますよね。
ここでは、栄養面の考え方と、不安との向き合い方についてお話しします。

偏食があっても、成長しているケースは多い

「食べる量が少ないのでは?」と心配になることもありますが、実際には活動量に見合ったエネルギーが足りているケースも少なくありません。

お子さんの必要なエネルギー量には個人差があり、一般的な目安より少なくても、問題なく成長している場合もあります。

食事量だけで判断せず、成長曲線(身長・体重の推移)を確認することが大切です。
成長曲線に沿って発達していれば、今の食事量でも足りていると考えられる目安になります。

不安なときは、専門家に相談を

もし成長の停滞が見られたり、栄養不足が心配な場合は、医療機関への相談も検討しましょう。

医療機関では、身長・体重の確認だけでなく、必要に応じて血液検査などで栄養状態を評価することもあります。
歯科医師・歯科衛生士・特別支援教育の専門家などが関わる専門外来では、お子さんの特性や生活環境も含めて、多面的に支援を受けることができます。

親の負担を軽くすることも、大切な支援

お子さんの偏食は、保護者にとって本当に大きなストレスになりますよね。
不安や焦りが強くなると、それがお子さんへのプレッシャーになり、かえって食事がうまくいかなくなることもあります。

だからこそ、「保護者の負担を軽くすること」も、偏食への大切な支援のひとつとされています。

専門家に相談して、お子さんの特性を理解することで、気持ちがぐっと楽になる保護者の方も多いそうです。

焦らず、「今のままでも成長しているか」を確認しながら、一人で抱え込まず、周りのサポートを頼っていきましょう。

まとめ|発達障害の偏食は「理解」と「関わり方」で変わる

自閉症のあるお子さんの偏食は、わがままではなく、感覚の特性やこだわり、これまでの経験などが重なって起こるものです。

だからこそ、「食べさせること」を優先するのではなく、「なぜ食べられないのか」を理解することが出発点になります。

無理に食べさせることで、かえって食事への苦手意識が強くなってしまうことも。
まずは、お子さんが安心して食事に向き合える環境を整えることから始めてみましょう。

偏食があっても成長しているケースは多いですし、過度に心配しすぎる必要はありません。
不安な場合は、一人で抱え込まずに専門家へ相談することも大切です。

わが家からのお伝え

わたし自身、自閉症の娘の偏食に長く悩んできました。
論文や専門書を調べてたどり着いたのが、今回ご紹介したような「感覚特性」「こだわり」「口腔機能」といった視点です。

読めば読むほど、「娘に当てはまる!」と納得できることばかりで、偏食への向き合い方がずいぶん変わりました。

ただし、今回の内容はすべてのお子さんに当てはまるわけではありません
お子さんの特性には個人差があるので、「こういうケースもあるんだな」と、参考のひとつとして読んでいただけるとうれしいです。

今後は、この記事をベースにして、わが家の娘の具体的な特性と、実際にとった対策についても記事にしていく予定です。
同じように偏食に悩むお母さん・お父さんのヒントになれば、うれしいです。

焦らず、お子さんのペースに合わせて関わっていくことが、結果的に食べられるものを増やしていくことにつながります。
一緒に、少しずつ進んでいきましょうね。

参考文献

  1. 礒田友子・田村文誉・山田裕之・水上美樹・保母妃美子・菊谷武(2024)
    小児の摂食嚥下障害専門外来における偏食に対する取り組み
    『日本障害者歯科学会雑誌』45巻3号, pp.172-182
  2. 藤井葉子(2017)
    発達障害児の偏食改善
    『リハビリテーション・エンジニアリング』32巻4号, pp.160-163
  3. 高橋摩理・内海明美・大岡貴史・向井美惠(2012)
    自閉症スペクトラム障害児の食事に関する問題の検討 第2報
    『日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌』16巻2号, pp.175-181
  4. 水野智美(2025)
    発達障害傾向にある子どもの偏食とその対応
    令和7年度 母子保健指導者養成研修 講義資料(東京科学大学)

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